バイリンガル子育てを始めてすぐ、ずっとモヤモヤしていたことがあります。それは『標準語』で話すべきかと言うことです。私は生まれも育ちも関西。話す言葉は関西弁です。
もちろん、標準語は分かりますし、努力すれば話せないことはありません。でも、標準語を話す自分には違和感があるし、自分らしくない気がします。
子どもにはきちんと日本語を話して欲しい…。一体どうすれば…?
今日はこんな疑問にお答えします!
方言はれっきとした言葉
一昔前までは、方言を使うことを恥ずかしく思う風潮が根強くありました。1950年代後半には標準語普及政策の施行によって方言撲滅運動なんてものも行われていたそうです。最近は少数民族の言語や方言の継承が重要視されているので、方言を使うことに抵抗は少なくなってきているかもしれませんが、それでも未だ、自分の訛りを隠す人は結構いると思います。
私も、やっぱり自分だけが関西弁を話す環境にいると(特に初対面の場合)、知らず知らずのうちに標準語っぽく話して周りと同化しているような気がします。無意識に標準語=共通語=伝わると感じているのかもしれません。
方言はその地域の人にしか伝わらないし、辞書に載っていない言葉も多いので、何となく標準語が崩れたものだと思いがちですが、言語学では方言はれっきとした言葉です。どの方言も当てずっぽうではなく、きちんとしたルールに従って構成されています。つまり、方言は標準語が崩れた不完全な言葉ではないと言うことをまず認識しておく必要があります。
方言を使うことは間違いではない
日本に住んでいたら、なんの疑問も持たずに地元の言葉や自分にとって自然な言葉で子どもに接すると思うのですが、海外でバイリンガル子育てをしていると、方言で育ててこの子の日本語が訛っていいのだろうかと躊躇してしまうこともあると思います。せっかく日本語を話せるようになるのなら、誰にでも通じる標準語がいいのではないかと頭をよぎりますよね。
でも、少し待ってください。誰にでも通じることが今一番必要なことでしょうか?
私はそうは思いませんでした。娘と心で通じ合うことが一番の優先順位だと思いました。
そして、私がぎこちない標準語で話しかけてもそれは達成できないだろうと思いました。
ある本に「自らの感情を最もこまやかに、的確に表現できるのは、自分の住む地域の方言」と書いてありましたが、まさにその通りだと思います。また、お茶の水大学名誉教授・外山滋比古氏も「赤ちゃんはお母さんのことばによって心が育つ」「母親が伝える方言は、こどもの表現を生き生きさせる」とお話しされています。
と言うわけで、私は自分自身が自然体で子どもと接することを優先し、関西弁(厳密には兵庫の地元弁ですが)を話すことにしました。
7年後、結果はというと、娘は私と全く同じイントネーションで日本語を話します。笑。
「洋風の顔して地元弁」と日本の家族に面白がられますが、親子の絆は深まったと自負しています。また、毎年の日本帰省では基本実家に滞在しますし、小学校の体験入学でお世話になっているのも地元の小学校です。地元の言葉を話す娘はすんなり溶け込め、我が物顔で日本滞在を満喫しています。方言で子育てしていて本当に良かったと感じています。
方言で育てたら標準語は分からない?!
方言で育てたら標準語の聞き取りに苦労するかもしれないと心配される方がいますが、断言します。
大丈夫です!
専門家も口を揃えて言いますが、子どもは新しい方言を学ぶのにさほどエネルギーを要しません。ましてや、標準語だとなおさら苦労はありません。日々触れる日本語の絵本やアニメは基本的に標準語です。標準語が聞き取れないなんてことはないでしょう。
娘もアンパンマンの真似をするときは標準語でした。日本でも同じですよね。関西で生まれ育っても、教科書やテレビ番組の多くは標準語です。私の周りで標準語が分からない子どもなんて私も含め一人もいませんでした。
まとめ
– 子どもと心が触れ合うことが大切。そのために方言を使うことは有意義な方法です。
– 方言で育てていても、標準語はすぐにマスターできます!
家族にとって一番伝わる言葉を使いましょう!バイリンガルは自然な環境の中で一番育ちます。