はじめに
娘はプレスクール時代から、イタリアの地方都市にあるインターナショナルスクールに通っていました。英語ネイティブの先生が担当し、国際バカロレア(IB)の枠組みに沿った教育プログラムを採用していましたが、認定校ではありませんでした。
生徒の9割がイタリア人という、ローカル要素の強いインターナショナルスクールです。
「インターナショナルスクール」と聞くと、バイリンガル教育やグローバルな学びに期待を膨らませる方も多いと思います。
でも、実際に子どもを通わせてみてわかったのは、想像以上に悩みや課題が多いということでした。
この記事では、インターナショナルスクールに通わせたことで感じた“後悔しかけた瞬間”とその背景を、実体験ベースでお伝えします。
インターナショナルスクールの3つのデメリット

① とにかく学費が高い
多くのインターナショナルスクールは、公立校とは比べ物にならないほど学費が高額です。
たとえば国際バカロレア認定校の中には、年間200万〜300万円の学費がかかる学校も珍しくありません。さらに入学金や教材費、イベント費なども加わります。
我が家では現在、IB認定校に編入しており、年間約200万円の学費がかかっています。
一方、以前通っていたIB非認定校の学費は年間75万円ほどでした。
ただし、他のカリキュラムや立地、設備によってはこれ以上に高額になるため、学校の方針と費用対効果のバランスを見極めることが大切です。
② 母語と英語、両方が中途半端に?
インターナショナルスクールでは、基本的に授業も課題もすべて英語で行われます。
英語ネイティブであれば問題ありませんが、英語が第二・第三言語の子どもにとっては、母語と英語の両方が中途半端になるリスクがあります。
これは「ダブル・リミテッド」と呼ばれ、どの言語でも自己表現が不十分な状態を指します。
娘も現在、英語・イタリア語・日本語を使いこなしていますが、読み書きでは英語が最も得意、話すのはイタリア語、日本語では難しい言い回しに苦戦することもあります。
特に漢字の定着が追いついていないのは、日本語環境にいないからこそです。
母語の維持には家庭での補完が不可欠です。インターナショナルスクールに入れただけでバイリンガルになると思っていると、言語教育は逆効果になりかねません。
③ 閉ざされた環境で「籠の鳥」になる
インターナショナルスクールは、価値観や文化が似た家庭が集まるため、多様性に富んでいるようでいて、実はとても閉鎖的です。
英語では「living in a bubble(バブルの中で生きる)」と表現されますが、現実社会とは異なる“選ばれた世界”の中で子どもが育つリスクもあります。
地元の子どもたちや地域との関わりが少なくなることで、子どもの視野が狭くなってしまう可能性も否定できません。
親としては、地域活動や他校の子との交流など、学校外のつながりも積極的に持たせる意識が必要だと感じています。

それでも通わせている理由
では、なぜ我が家は今もインターナショナルスクールを選んでいるのでしょうか?
それは単純に「英語ができるようになるから」ではなく、学校の理念と娘の個性が合っていると感じるからです。
教育方針やカリキュラムの中身に納得できるかどうか。そこが学校選びの本質です。
インターナショナルスクールという名称に飛びつくのではなく、その学校がどんな子どもを育てたいのかをじっくり見極めることが大切です。
英語力だけが目的ならおすすめしない理由
英語を話せるようにしたい、という理由だけでインターを選ぶご家庭もあるかもしれません。
ですが、それならもっとコストパフォーマンスの高い方法があります。
インターナショナルスクールはあくまで「英語で学ぶ学校」であり、「英語を学ぶ学校」ではありません。
親が英語を理解していないと子どもをサポートできず、学習面・精神面ともに負担がかかることになります。
実際に、英語と現地語のどちらも中途半端になって退学したご家庭も身近に複数あります。
「英語教育=インター」と安易に考えると、子どもにとっても親にとっても大きな遠回りになってしまう可能性があるのです。
まとめ:後悔しないために必要な視点
学校選びにおいて大切なのは、「英語力がつくか」ではなく、「その学校で子どもが健やかに成長できるか」です。
私自身、迷いや不安を抱えながらも、教育理念や学びのスタイルに納得できたからこそ、今も通わせ続けています。
後悔を減らすには、事前に学校の方針やプログラムを丁寧に調べ、「自分の子どもに合っているか」を真剣に考えることが何よりも大切だと思います。
私が最近読んだ『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』は声かけに関する書籍ですが、レッジョ・エミリア教育についても触れています。レッジョ・エミリア教育はイタリアのある地域で行われている教育メソッドです。前衛的で興味深いのでいつかブログでも紹介できればなと思います。(娘の小学校で一時期レッジョ・エミリア・スタイルを導入していたため、保護者会でセミナーを受けました。)