日本への一時帰国は生きた日本語を学ぶ絶好のチャンスですよね。そんなバイリンガルファミリーにとって、体験入学は強い味方です。
体験入学?
海外に住む子どもが、短期間日本の学校に通って学校生活を体験することだよ。
海外で子どもに日本語を教えていると、「日本語を勉強」することに注力され、「日本語で勉強する」という体験はなかなかできません。実際に日本の学校で日本人の子ども達と机を並べて勉強できればいいなと思いませんか?
とは言っても、何をどう準備したらよく分からないですよね。
本記事では、自身の体験を踏まえ、体験入学の手続きや事前準備などを詳しく解説します。
入学体験について
体験入学とは
日本国外に在住する学齢期の子供が、現地の学校の長期休暇などを利用して日本に一時帰国し、日本の学校生活を体験するために短期間日本の学校に通うこと。
出典:フリー百科事典『Wikipedia』
日本の体験入学で海外に住む子どもたちを受け入れているのは公立の学校です。しかも授業料は無償。
欧米では私立学校で体験入学を実施しているケースはあっても、その地域に住んでいない子が公立学校に通うことは難しいと思うので、そう考えると、日本の教育制度は懐が深いなーと思います。
この体験入学、海外在住者の間では広く知れ渡っていますが、実は法的な制度としては成立していません。そのため、受け入れ基準や条件は学校や教育委員会によってまちまちです。
校長先生や教育委員会の判断に委ねる感じではありますが、これまでの体験談などをまとめてみると、ある程度の基準は確認できます。
それでは、次の章で詳しく見てみましょう。
体験入学の受け入れ条件
体験入学の受け入れは学校や教育委員会に判断が委ねられています。しかし、一般的には下記のような基準が設けられている場合が多いです。
☑︎ 旅行保険など何らかの保険に加入する必要がある
☑︎ 感染症対象地域からの児童は体験入学できない(例:私の住む町では、結核高蔓延指定国からの帰国の場合、レントゲン検査の結果を提出しないと体験入学はできません)
☑︎ 本人の日本語能力が不足していると受け入れられない場合がある
☑︎ 教員不足の場合は受け入れられない場合がある
全ての市町村でこの条件を設けているわけではありません。条件のない市町村もあります。
ホームページに詳細を掲載している市町村もあるので、一度確認しておくといいですね。
私の場合は、市のホームページには体験入学に関する記載がなかったので、メールで問い合わせました。
唯一求められたのは、教育委員会へ申込書を提出することだけで、その他すべては学校側の判断に委ねられていました。
個人的な感覚では、学校に問題がなければ(教師不足や学級崩壊など)、受け入れてもらえる可能性は高いのではないかと思います。
体験入学の段取り
学校選び
体験入学をすると決めたら、学校選びをしましょう。
実家に一時帰国する場合がほとんどだと思うので、通常は学区または校区に指定された学校が第一選択肢になると思います。
ただし、体験入学では必ずしも学区の学校を選ぶ必要はないようです。(ちなみに、通常の入学でも学区外就学申立制度などかあれば、学区外の学校へ通えます)。
私の実家の場合、学区に指定された小学校の他に、もう一校徒歩圏内に小学校があります。どちらの学校へ行くにも歩く距離はほぼ変わらないので、条件の良い方の学校へ通わせたいものです。
教育委員会に問い合わせたところ、体験入学は校長の判断に委ねられているので、校長がいいと言えば、どちらの小学校でも構わないという見解でした。
と言う訳で、学区にある母校は『マンモス校』『通学路が国道沿いでトラックの走行が多い』理由で避け、ニュータウンの高齢化で『全校生徒数が減っている』学区外の学校を選びました。
学区外の小学校は、2クラスしかないので、もし毎年体験入学でお世話になったとしても、クラスの半分は既に知り合いと言う環境の方が馴染みやすいかなと思ったのと、通学路が歩きやすいと言う理由からです。
また、体験入学をする1年半ほど前に一時帰国した時、両方の学校を訪問し、校長先生とも面談したのですが、学区外の小学校は体験入学を積極的に受け入れていて、歓迎ムードで安心感がありました。
学校選びは家族や親戚などから情報を得ることもできますが、可能であれば、自ら足を運んで校長先生と直接話をされることをおすすめします。体験入学に慣れているか、受け入れに積極的かなど分かりますし、学校の雰囲気も知れるので色々な不安が一気に解消されますよ。
通常、体験入学は公立の学校で実施されることがほとんどですが、私立の学校でも受け入れているところもあるようですので、目当ての学校があれば、問い合わせてみるといいですね。
手続きの方法
市町村により手続きの仕方にばらつきがあるので、一概にこれとは言えないのですが、下記のフローチャートのような流れを想像してもらえるといいと思います。
少なくとも体験入学開始の2週間前までには、受け入れ許可をもらっておくように定めている市町村が多いです。受け入れ可能な学校を早めに調査し、帰国ギリギリに焦らなくて済むようにしておきたいものですね。
住民票は必要?!
体験入学にあたり、住民票の移動を求める学校もあるようです。
住民票を出すということは、転入と同等に扱われることであり、短期間の滞在であっても、「正式な就学扱い」になります。つまり、形式上は体験ではなく編入です。
ただし、現行の学校教育制度では、2つの学校に籍を置くことは認められていません。海外の学校に籍を置きながら日本の学校に転入することは原則できないはずなので、住民票を置くように言われる場合は、矛盾しているように思うのですが、そこは行政の指示に従うしかありません。
必要だと言われた場合のみ、住民票を移しましょう。メリットとしては国民健康保険に加入できるので、海外旅行保険に入らなくて済みます。
とは言え、たいていの市町村では業務が煩雑になるので、短期の転入は認めていないと思います。
余談ですが、私の友達は、短期一時帰国中に国民保険の恩恵を受けるため(小さな子ども二人連れ)、長期転入だと嘘をついて帰国の度に転入届けを出していたら、3度目にはブラックリストに載ってしまったようです。くれぐれも注意しましょう。
体験入学の心得
体験入学の時期
一般的に、欧米では夏休みが6月から始まるところが多いため、6月から7月にかけて体験入学する子どもが多いようです。現地の学校を休まなくても済むし、都合が良いですよね。
私の娘が体験入学する小学校も、毎年この時期に数名体験入学を受け入れていると聞きました。
ただ、教頭先生の話では、学期末はテストが多いので、学校生活が大して面白い時期ではないと仰っていました。もちろん、これはこの学校の先生の主観なのでなんとも言えませんが、もし、現地の学校を休んでも支障がないのであれば、日本の学校のイベントなどを考慮して体験入学時期を決めるのも、楽しいかもしれませんね。
体験入学にかかる費用
公立の学校で体験入学する場合は、授業料は無料です!
必要な費用は、給食費の実費負担(一食200円程度)と、学校によってはスポーツ保険(2000円程度)への加入を義務付けているところもあるようです。
その他、教科書や学用品を揃える必要がありますが、教科書をコピーしてくれたり、体操着も私服で良い場合もあるので、購入物に関しては学校に問い合わせましょう。
また、教科書はお住いの国の日本大使館に申請すると無償で配布してもらえます。体験入学する小学校が使っているものと異なる場合もありますが、無償でもらえるものなので、申請しておくことをおすすめします。
まとめ
まだ制度として整っていない、体験入学に申し込む際の決め手となるのは、学校が体験入学に大して寛容かどうかです。
まだ早いと思わずに、可能なときに学校訪問しておくのがおすすめです。学校の雰囲気や規模がわかるので、体験入学をイメージしやすくなります。
また、先生とコネクションを作っておくのも大切です。実際にお願いする際に話が早いです。
ただし、公立の学校は人事異動があるので、せっかく知り合いになった校長先生が移動!なんてこともあります。(校長や教頭などの管理職の一校在職年数は2、3年だそうです)。校長と教頭が同時に移動ということはあまりないようなので、どちらの先生とも面識があると心強いですね。
体験入学は誰にでも門戸が開かれているので、積極的に活用してみてください。
次回は、帰国してから通学までの詳細をまとめたいと思います。
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