バイリンガル子育てを辞めた、または徹底しなくなった家庭をこれまで何軒も見ました。いろいろな理由があってそうなったのだとは思いますが、話を聞いていると『周囲のプレッシャーに負けた』と言うのが要因だったというケースが結構ありました。
えー!!!周囲のプレッシャーに負けただなんて辛すぎる!
言葉を話し始めると周囲とのつきあい方が問われます
最初にも書きましたが、夫婦で話し合って家庭内で何語を使うのか/教えるのかと言うことを決めることが大切だと言う話をしました。OPOL(一人、一言語)を実践していることを前提に話しますが、子どもが赤ちゃんのときは、決めたルールを徹底するのってすごく簡単です。こちらがどんな言葉で話しかけようが、「ブーブー」とか「アーアー」とか喃語での会話ですから誰も傷つきません。それが、話し始めるようになったら、さあ大変!状況はみるみる変わってきます。どこの国に住んでいようが、お子さんは一緒に過ごす時間の長い人が使う言語を最初に話し始めるようになるでしょう。一般的にそれはお母さんの言語です。私の場合、日本語で子育てしていたので、当時主人の義父母と同居していたにも関わらず、娘が最初に発したのは日本語でした。それから1歳半くらいまでは日本語優勢な状況が続きました。イタリア語は分かっているのですが、発言は日本語でした。用事で義父母に娘を預けなければならない時などは、意思の疎通ができるように娘がよく使う日本語の翻訳リストを作って置いていったものです。今思えば、義父母にしたら、イタリアで生活している孫がイタリア語を話せないなんて、さぞかし心配し苛立ったことでしょうね…。幸いにも義父母はとてもオープンで、私たち夫婦がバイリンガル子育てをし、OPOLを徹底することに賛同してくれていたので、嫌味を言われたことは一度もありません。
成長の通過点を見守ってもらおう
しかし、国際結婚をした人の話を聞いていると、誰にも咎められたことがない私はラッキーだったんだなと思います。日本語が分からない旦那さんやその家族の前で日本語を話すと嫌がられるとか失礼にあたるからできないとかよく聞きます。バイリンガル子育てに賛成していた旦那さんでさえ、自分が疎外感を感じだすと反対すると言うパターンもあるそうです。そして、それがストレスとなってバイリンガル子育てを辞めてしまったと言う人は少なくありません。自由にバイリンガル子育てをさせてもらっている私でさえ、その肩身の狭い気持ちすごく分かります。私と子どもだけが周囲に分からない言葉を話しているのに違和感を感じたことは多々あります。内緒話しをしているみたいだし、周りの人も興味津々でじーっと見てきます。今ではすっかり慣れましたが、最初は気を使いました。でも、この努力、絶対報われると思うんです。うちの娘はある日突然通訳になってくれるようになりました。ママはイタリア語が得意ではないから助けてあげなければと思ったのでしょう。義父母が言っていることを日本語で翻訳してくれ、私には日本語で、義母には同じことをもう一度イタリア語で話すようになりました。おそらく、OPOLを徹底していなければそうはならなかったと思います。子どもは賢いですから、必要性がなければわざわざ面倒なことはしません。
まとめ
家庭外でOPALを徹底するのは周囲の家族のサポートとめげない努力が必要です。バイリンガル子育てのあるガイドブックにこんなアドバイスが載っていました。周囲の協力が得られない場合は、次の対策を試してみてはいかがでしょうか。
- 言語習得のプロセスは長い道のりで、現在はその通過点に過ぎないと言うことを周囲の家族に伝える。
- 自分自身が決めたゴールを今一度見返して、そのために家族にも理解してもらいたいと言う意思表示をする。それでも反対する人がいたら、その人にも協力してもらう(例えば、祖父母がイタリア語が足りていないと感じバイリンガル子育てに反対するなら、祖父母にイタリア語で話す係になってもらうなど)。
- バイリンガル子育てで夫婦間でケンカしないとこ。(ケンカの原因は言語ではなく、別のところにあるかもしれません。バイリンガル子育てのせいにせず、本質を見極めたら解決策が見つかるかもしれません。)