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運筆トレーニング【ひらがなを教える前にすべし】

バイリンガルキッズ

海外でバイリンガル子育てに奮闘されているママ・パパ、ひらがなの書き方を教える前に、運筆トレーニングが必要かお悩みですか?

ちまたでは、知育スクールや教材などで運筆力の重要性を唱えています。

運筆とは、文字を書くときの筆の動かし方や筆づかいのことを言いますが、私も文字を書き始める前までに運筆力をつけておくことは大切だと思っています。

本記事では、イタリアの地方都市で、画材店に嫁ぎ、日伊英のトリリンガルを育てるひじりが、

子どもの自己肯定感を倍増させる、運筆トレーニングの方法

を伝授します。

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運筆力はなぜ必要か

小さい子どもにとって筆圧を調整し、思い通りの絵を描くことはとても難しいことです。

何度も練習しながら、そのコツを掴んでいくのですが、文字を書ける年齢になるまでに、自由自在に筆運びができるのとそうでないのとでは、勉強に取り組む姿勢に差が出るのは想像に難くありません。

絵を描くことは筋肉の発達を促す

運筆力はペンを動かすことで鍛えられていきます。幼児の「殴り書き」は、手の運動です。最初はペンを握った腕を左右にしか動かせなかった子も、書き慣れていくうちに、丸や点など細かな動きに対応できるようになっていきます。

認識・観察能力の発達を促す

殴り書きをするという一連の行為は、物と自分との関係を知り、眼と手の運動を一致させるのに役立ちます。キャップの開け閉めからペンの構造を理解したり、ペン先がどちらにあるか認識したり、観察力を働かせて学んでいきます。

また、手首や肘、肩などの動きがスムーズになってくると、モチーフを選んで描いていくようになると思います。

娘は、丸や線を書いては、「ママ」や「ライオン」と描いた絵を説明していました。もちろん、形にはなっていないませんが、本人はそのつもりで満足そうにしていました。

感情の表出

描く・作ると言う造形活動は、心をさらけ出すことであり、絵を描くことを通して言葉では表しきれない感情を表現したり、ストレスを解消したりすることができると言われています。それは子どもでも同じです。

創造性が育つ

昔このような内容の記事を読んだことがあります。

「創造性は学びの架け橋である。あなたの子どもが創造性に溢れ、好奇心旺盛であれば、問題に直面したとき、その答えをいくつも見つけ出すことができるだろう。創造性はじっくり考え、探究心や自信を持って学ぶことのできる子供に育つのに役立つ。」

創造性があると言うことは、「物事に対し、 複数の解決策を見つけることができる」ということでもあります。

バイリンガルはその立場の特異性から、既に創造力や問題解決能力が高いと言われています。

そんなバイリンガルキッズが絵を描くことを通して、知的好奇心がアップしたら、さらにたくさんのことをスポンジのごとく吸収できるのではないかと思います。

運筆トレーニングの具体例

私は、専門的に子どもの発達や心理を研究したわけではありません。また、知育に力を入れていたわけでもありません。

ただ、娘の描きたいものも好きなだけ描かせてあげた結果、運筆力が半端なく鍛えられました

早いうちから筆を我がものにしていた娘は、文字の習得も驚くほどにスムーズでした。

後から分かったことですが、「絵の描き方を教えたり、描いた絵の説明を求めたり、何かを要求せずに自由に好きなだけ」という私たちが娘に与えていた環境は、専門家が推奨する想像する力を育む環境でもありました。

それでは、その環境をどのように与えたのか、具体例を紹介したいと思います。

歩けるようになるまで

1歳と同時に子ども用のフェルトペンを与えました。伝い歩きはできても、まだ歩けません。辛うじて握るのが精一杯ですが、ペンで線を描いて見せると、娘も真似て書こうとします。

どちら側が色の出るペン先かわかるまで2週間近くかかりました。

とにかくグルグル。※所々にあるイラストは私や夫が描いたものです。

A4のコピー用紙やノートではすぐにはみ出してしまうので、床に大きな画用紙を敷き、その上に座らせて、自由に絵を描けるようにしました。

準備するもの:
– 大きな紙(大型カレンダーの裏などでも)
洗える水性ペン(口に入れてしまうことを考え、食用染料を使用したものが⭕️。ペン先の誤飲も注意してください。)

1歳1ヶ月
ペン持ち始め。一方方向の無秩序な殴り書き。

1歳2ヶ月
腕を動かし、円らしき形が描けるように。

さらには、こんなことも…。⇩

汚れても大丈夫なように万全の体制で…。でも決して汚しちゃダメとは言わないで。

フィンガー絵の具もよく使いました。ただ、ご察しの通り、絵の具まみれになります。子どもは大喜びですが、ママは覚悟を!

写真で使っているのはフランスのペベオ社のフィンガー絵の具です。ペベオ社の絵の具は、欧州の厳しい基準をクリアしており安全性もバッチリなので安心です。紙ではなくキャンバス地(下地塗装なし)に描いています。

歩けるようになってから

歩き始めて3ヶ月。じっとしていません。いつでも立って好きなところへ行けるよう、常に中腰で床の紙に絵を描く姿が不便そうだったので、紙をイーゼルに上げてみました。すると体全体を使ってダイナミックな線を描くようになりました。

イーゼルを使うと、左右に移動したり、自由に腕を動かせ、ダイナミックな絵を描くようになりました。
準備するもの:
– 大きな紙(大型カレンダーの裏などでも)
イーゼル(なければ壁に紙を貼ってもOK。壁まではみ出てしまうリスクあり)
– 上記の紙を支えるための板や段ボール
– 洗える水性ペン。筆圧が十分にあればクレヨンでも


1歳4ヶ月
ダイナミックな大きな円を描くように。


1歳5ヶ月
大小の円を自在に描けるように。

さらには、こんなことも…。⇩

初めて筆を持たせました。お絵描きは、ペンで慣れていたので躊躇することなくすぐに創作に取り組む娘。

ペンばかりでは飽きるかなと思い、キャンバスと筆を与えました。手首や手の筋肉はペンでのお絵描きで十分に鍛えられていたので、何のためらいもなく、描き始めました。

ペンとは違い、筆は途中で色がなくなるので、色の強弱などは自分で考えなければなりません。絵の具は子どもの好奇心や発想力を刺激します。

写真で使っているのは、Giottoというイタリアのメーカーの子ども用テンペラ絵の具です。水性ですが、不透明度が高く発色が強いので、小さい子におすすめです。日本でも別のメーカーですが、子ども用テンペラ絵の具は手に入ります。小学校で使う不透明水性絵の具でもいいと思います。

さらに運筆を高めるために

めいろなどのワークブックも運筆を鍛えることができます。市販のものでも、無料ダウンロードできるものでも、何でもいいと思います。

自由にお絵描きすることと比べると、面白みに欠けますが、お子さんの反応を見てやらせてあげたらいいのではないでしょうか。より細かい手の動きが要求されるので、良いトレーニングになります。娘はご褒美シール付きのめいろが好きでした。

まとめ

お絵描きを日常的にさせると、手の筋肉が鍛えられ、驚くほど運筆力がアップします。また、お絵描きは、観察力や創造性を養うことができます。

幼稚園がスタートしたとき、ペンを持つことに自信を持っていれば、次々と他のことに自信がつながっていきます。

下の4枚の絵は、4歳の子どもが描いた自画像です(輪郭はもともと印刷されています)。四人とも会話力は年相応で大きな差はありません。

左の二人は幼い頃からいつでも自由にのびのびとお絵描きができる環境が与えられていました。自画像に体まで描けています。右の二人はお絵描き環境がほとんどなく、服を汚さないよう注意される環境で育ちました。運筆力の差は歴然です。右から2番目の子は英伊独のトリリンガルなので、喋れるのと描けるのは全く別のことだということがよく分かります。

もちろん、運筆力は年齢とともに自然についていきます。

しかし、紙とペンを与え、思う存分お絵描きさせるだけで、こんなにもスタートに差がつくのであれば、絶対やったほうがいいと思うのが私の意見です。手や服を汚してしまうかもしれません。洗い物が増えるかもしれません。でも、そんな苦労を忘れさせてくれる成長が待っています。

バイリンガル子育ては、言葉だけでなく、その土台作りをしっかりしてあげることでさらに飛躍できますよ。

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