イタリアの読み聞かせボランティア『Nati per Leggere』で活動しているセイコです。
「本を読む子は頭が良い」とよく言われますが、それって本当なんでしょうか?
本当らしいです。
近年、読書や読み聞かせに関する研究調査が進み、そのエビデンスがはっきりと裏付けされているのです。
忙しい毎日、ベッドタイムになったら1分でも早く寝てほしいという気持ちは同感です。でも、たった10分、いや5分一緒に絵本を読むだけで、子どもの学力が違ってくるとしたら?
それに、バイリンガル子育てに読み聞かせはマストです。読み聞かせほど、語彙を増やすのに効果的な方法はないと思います。
この記事を読んで、読み聞かせの効果を実感してください。
読書のもたらす7つの効果
学力が上がる
全国の公立小中学校を対象とした全国学力・学習調査と家庭環境に関するアンケートでは、「毎日10分以上読書をするか」という質問に対し「はい」と答えた子は、総じて読解力の問題の正答率が高かったそうです。
また、教育コンサルタントの松永暢史氏の著書『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』では、「本を読んで理解することができるから、勉強ができる。」と明言しています。東大生の親に行ったアンケートでも共通していたのは「読み聞かせ」だったそうです。
松永氏は「読み聞かせをスタートとして、本の世界に入っていくことで、語彙力から文章理解力、思考力、集中力、表現力など、学力向上に欠かせない力が養われていきます。」とも言っており、読み聞かせが勉強の原点になると言っています。
この本の中では、厳選本145冊が紹介されているので、本選びに迷った時の参考にもなります。
言語能力が上がる
オハイオ州立大学の研究では、幼稚園に入園するまでに毎日5冊の絵本を読んでもらった子は、全く読んでもらわなかった子よりも140万語以上を耳にするという結果がでています。
聞いたことがある単語の数が多い子どもの方が、就学後に教科書など印字物に対する抵抗がなく、読解力も速やかに上達すると考えられています。
American Academy of Pediatricsの2017年の研究でも「乳幼児に読み聞かせをすることは、就学時に必要な読解力のブーストになる」という結果がでています。
また、絵本では日常使わない複雑な単語が含まれていることも多いので、会話だけしているより、読み聞かせをした方が語彙がつくのです。
『ももたろう』ひとつとっても、「おじいさんは山へしば刈りに…」の『しば刈り』なんて日常使うことありませんもんね。読み聞かせで語彙が増えるということは納得です。
集中力を養う
読み聞かせを始めたときは、お子さんがなかなかお話に集中できないという体験をされた方も多いかもしれません。
そのような場合は短いお話から始め、子どもの反応を見ながら絵本を読む習慣をつけてみてください。
ひとたび物語の世界に入り込むことができるようになると、本を読んでもらうことが楽しくなってきます。そうすると、長時間お話を聞くことができ、集中力も同時に養うことができます。
想像力が身に付く
子どもは絵本を読んでもらうことで、物語に集中し、ぐんぐん想像の世界に引き込まれていきます。そして想像を巡らせます。この想像力は知的好奇心でもあります。絵本の読み聞かせは子どもの知的好奇心をも高めてくれるのです。
また、今の教育では、変化の激しい社会に対応して、自ら課題を見つけ、学び、解決していく力が求めらています。想像力はこれらの力をつける上で非常に重要です。想像力は良いアイデアを生む源でもあります。
共感力を育む
子どもは絵本の登場人物の心情を理解しようとします。
人の気持ちを理解することで、人を思いやれるようになります。 情緒を表現しながら読み聞かせてあげれば、感情表現も豊かになっていきます。
共感力は、相手の気持ちに寄り添える力であり、人間社会では重要な能力です。
読書が娯楽になる
本を読むのが楽しくなると、自然とスマホやPC、ゲーム機などのスクリーンタイムは減ります。
タブレットで遊ぶよりも、ママに本を読んでもらうのを好むでしょうし、一人で本が読めるようになれば、お気に入りの本の続きが知りたくてパソコンよりもまず本を開くでしょう。
スポーツ庁「令和3年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果では、年々運動量は下がり、スクリーンタイムが上がっています。今や、視聴時間が一日2時間以上の小学生は過半数を超えています。
スクリーンタイムが長いと、当然ですが学校での成績や社会的交流に影響を及ぼす可能性があります。
ソーシャルメディアに触れる年齢になれば心理的な影響も心配です。読書を娯楽にすることができれば、そう言った心配も少し減りますね。
親子の絆を深める
スキンシップをしながら絵本を読んであげることで、子どもは自然と自己肯定感を育てていきます。自己肯定感とは、「ありのままの自分で大丈夫」と思える心の状態のことを言います。無条件の愛を与えられることで子どもは自信をつけていくのです。
特にママの声は、赤ちゃんがお腹の中にいるときから聞いていた安心できる声です。そんなママと過ごす時間は子どもにとっては特別なのです。
絵本の読み聞かせを通し、親子の絆をより一層深めてください。
絵本選びのコツ
幅広いトピックを選ぶ
多様なトピック、多様な文化背景の絵本を選びましょう。
バイリンガル子育てをしている方はいろいろな言語で書かれた本を与えましょう。幅広い情報に触れることで、興味の範囲も広がるでしょう。
動物や建築物などを紹介する図鑑のようなものから、優しさや多様性などの重要性を教えてくれる本など、様々なトピックに関する本を読みましょう。そして、情報の引き出しを増やしましょう。
図書館や無料サイトを活用しよう
読み聞かせの効果は理解していても、いざたくさん本を揃えようと思うとそれなりの出費になりますよね。
特に外国語の本となると高価でなかなか手が出ません。
そんな時は地元の図書館を利用したり、無料で絵本が読めるサイトを活用したりしてみましょう。メルカリなどのフリマサイトを活用するのもいいと思います。私は娘が『かいけつゾロリ』シリーズにハマった時は大変お世話になりました(アマゾンの中古本よりずっと状態が良く安いです)。
– 青空文庫(著作権の消滅した作品と、「自由に読んでもらってかまわない」とされたものを、電子化し揃えています。アンデルセンやグリム童話、ピーターラビットなど往年の名作がオンラインで楽しめます。)
– INTERNATIONAL CHILDREN’S DIGITAL LIBRARY(NPO団体が管理するサイトで、50言語、4000タイトル以上の絵本を貯蔵しており、インターネットがあればどこでも読むことができます。登録する必要もありません。)
– Oxford Owl(オックスフォード大学出版局が提供するサイト。3歳〜11歳向けの英語の本を扱っており、登録すれば無料で読めます。英語圏の学校で使われる学習向けの短編が多い印象。)
他にも無料コンテンツを提供するサイトはたくさんありますが、クオリティがイマイチのが多いです。読み聞かせをするときはぜひ、きちんとした文章で丁寧な作品作りをしているものを選んであげてください。世界中で愛されている絵本にはそれなりの理由があります。
まとめ
毎日5分の読み聞かせは良いことだらけ。
私は娘が生まれたときから約10年読み聞かせを続けていますが、娘は今でも本を読んでもらうのが好きです。もちろん、自分で読むのも大好きです。
塵も積もれば山となる。
お子さんが何歳でも遅すぎることはありません。騙されたと思って、読み聞かせを始めてみてください。